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132話 葉桜

ふと止まる時間に思い出される過去の自分の過ちや拭い去れない汚点に串刺しにされて眠るはずの時間にどうしようもなく目がさめてうまいと思えない酒を薬のように味わうことなく喉を通し効かないままのみ続けて気付けば友にかこまれてそのうち寝ているやつらをたたき起こして桜の並んだグラウンドには良いも悪いも好きも嫌いも夜空の下で我を忘れて飲み語り泣き出すやつを笑いながら朝日を見て何というわけでなく何かに納得しキマったままで朝飯食って馬鹿なやつらが登校していくのを見て自分が馬鹿だと気付いているのにすがすがしい気持ちで眠りにつくと夢でモテモテの天才実業家になったりしつつも馬鹿達の下校時間にウェイクうpしてもっと馬鹿の最強チームでパチンコなのに個人投資家気分にもなりつつも戦後日本を支えた老人相手に勝ち組きどりの若者ばかりでマヨネーズをかけたくなったが結局マヨネーズを買うことも出来ずに泣く泣く馬鹿に飯をおごられ馬鹿なのは自分だけだとはっきり言えるころには何もかもが速度を上げて地球に振り切られそうになりながらもとにかく世の中の泳ぎ方を覚えてみても犬かきでクロールに追いつけない現実と心の間にふる雨で息継ぎさえもふさがれていると思い込む。時の流れで友も金も夢も涙もみんな流れたきれいなそこへ洗われたやつらが再び集まり口をそろえてクロールについて語るのを疎ましくも悲しくも嬉しくも思いつつもまた来るであろう別れと出会いに全力で牽制球を投げたい衝動にかられて走り出した夜空のしたで幻想的に光る葉桜がまた全てを思い出させてくれる。



なつかしさの中、何かの記念に貰った酒を飲んでいたついさっき、馬鹿の一人からメールが来た。


「結婚するわ。6月に案内状だすから。」



「Re:おめでとう、おめでとう、おめでとう」
by watipikannte | 2006-04-12 03:56 | コラム
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